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[4] 借地権を売ろうと思って家中探しましたが、契約書がありませんでした。どうすればいいのでしょうか?
このような理由で、あわてて当社に相談に見える借地人さんも結構います。
借地権保全には、2つのポイントがあります。
①地代を払っていること(地主が受け取っていること。供託も可)
②借地上の建物登記がされていること(借地契約書はあるにこしたことはないが、賃貸借は諾成契約のため、貸す意思と借りる意思の合致があれば成立する)
「借地権を保全できているかは『地代を払っているか』『建物が登記されているか』です。
この2つがあれば借地権は保全されているとみなされますので、まずはそれを調べてみましょう」
このアドバイスに、安堵されたようでした。
「ところで、地代の領収書はお持ちですか?建物の登記はどうですか?」
こうお尋ねすると、金融機関での振込通知書があるとのことでした。振込通知書か地主さんからの領収書があれば、地代を払っている証明になります。
「建物登記はよくわかりません。どうすれば良いでしょうか?」
相談者の中には建物登記がされていないケースも散見されます。この方の場合、建物の登記があるかどうかハッキリした記憶がありませんでした。
「建物の登記は、法務局に行けば調べることができます。また、毎年4月くらいに行政から届く建物の固定資産税等納税通知書に建物登記に関する記載がありますので、そちらで登記がされているかどうかを確認できます」
この方の場合、建物はお亡くなりになったお父様名義で登記されていました。売却するためには、遺産分割協議を実施してご自身の名義(もしくは共有名義でも可)に変更してからとなります。
その後、地主さんとの交渉や、遺産分割協議等を実施し、無事第三者へ売却することができました。
○ 建物登記
登記とは私法上の権利を第三者に公示するために登記簿に記載すること。権利の保護、取引の安全のために行われる。建物の新築、建物住宅購入時は、工事完了1か月以内に表示登記をする必要がある。
○ 諾成契約
当事者の意思表示が合致するだけで成立し、目的物などの引渡し等を必要としない契約。
○ 法務局
法務省の地方支分部局のひとつ。法務省の事務のうち、登記、戸籍、公証などの事務を処理する。全国に法務局、地方法務局、支局、出張所がある。
■ POINT
もし建物登記がなければ、早急に、借地人名義で建物登記をする必要があります。建物登記がない場合、地主が第三者に底地を売却した場合、自分の権利を主張する根拠がなく、第三者に対抗できない事態にもなってしまいます。- [1] 「地代を上げたい」と言われた
- [2] 更新料を請求された
- [3] 地価が下がっているのに、固定資産税や地代が上がった。
- [4] 借地権の契約書がない
- [5] 使用賃借か賃貸借か?
- [6] 借地権を転貸しても良い?
- [7] 事業用に転用すると地代が上がる?
- [8] 古い遺産分割協議書しかない
- [9] 抵当権付き建物は売れる?
- [10] 更新料は必ずもらえる?
- [11] 借地人が勝手に建物を取り壊した
- [12] 地代を払わない借地人、請求しない地主
- [13] ひとつの借地に3人の借地権者
- [14] 2筆にまたがる1人の借地人
- [15] 借地長屋は売れるか
- [16] 認知症になった母の借地権
- [17] 9人の地主のうち、1人が認知症に