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[13] この借地は誰のもの? ひとつの借地に3人の借地権者が…
「借地権を売りたい。地主は承諾している。ただこの借地には、あと2人の借地人がいる」
こう言ってこられた借地人さんがいました。
まず、地主さんに話をうかがいました。
「そもそも、うちは1人の人に貸していた。いつの間にか、こんな形になってしまった…」
地主さんの話のとおり、この借地は最初1人の人が借りていました。借地人が代替わりするうち、全部で3軒の家が建つようになってしまったのです。
この3人の借地人はいとこ同士で、借地の上の適当な場所にそれぞれ家を建てたわけですが、地主さんもそれは了解していました。
建物は、3人の借地人さんの名義で登記されています。借地権は、建物が登記されている3人の共有(準共有)になります。ただ、借地人さんそれぞれの借地範囲がハッキリしていません。
借地範囲がハッキリしないため、地代も等分して払っていました。
1軒だけのときは9万円でしたが、2軒のときはそれぞれ4万5000円、3軒になったときは各人が3万円ずつの地代になっていました。
相談に見えた借地人さんは、借地の真ん中に家を建てていました。
「私も、どこからどこまでがその人に貸している土地か、わかりません。その人が売りたい借地権は一番いい場所ですよね。ちょっと、御社のほうで整理してくれませんか?」
地主さんからの依頼で、さっそく整理を始めました。まず、残りの2人の借地人さんの意思確認です。
その結果、相談に見えた方以外に、もう1人の借地人さんが借地権を売りたい希望でした。残る1人の借地人さんは、借地権を買いたいとのことでした。
この場合、解決策は次のようになりました。
地代が3等分されていることから、便宜上、3人の借地を3等分して借地面積を確定させました。
そのあと、地主さんと3人の借地人さんとの間で、売買の条件及び、借地の条件等を調整し皆さんが納得する形で、借地権を買いたい借地人さんに、借地権を売りたい2人の借地権を買ってもらいました。
こうすることで借地権が一本化でき、地主さんにも、借地権を買った借地人さんにも喜んでいただけました。
今回のケースは、関係者の皆さんが問題解決に向けて気持ちを合わせ、歩み寄っていただけたことが成功のポイントでした。
■ POINT
ひとつの借地に複数の借地人がいる場合、各人の借地範囲をハッキリさせる必要があります。まず、各人の借地範囲を早急に確定させることです。- [1] 「地代を上げたい」と言われた
- [2] 更新料を請求された
- [3] 地価が下がっているのに、固定資産税や地代が上がった。
- [4] 借地権の契約書がない
- [5] 使用賃借か賃貸借か?
- [6] 借地権を転貸しても良い?
- [7] 事業用に転用すると地代が上がる?
- [8] 古い遺産分割協議書しかない
- [9] 抵当権付き建物は売れる?
- [10] 更新料は必ずもらえる?
- [11] 借地人が勝手に建物を取り壊した
- [12] 地代を払わない借地人、請求しない地主
- [13] ひとつの借地に3人の借地権者
- [14] 2筆にまたがる1人の借地人
- [15] 借地長屋は売れるか
- [16] 認知症になった母の借地権
- [17] 9人の地主のうち、1人が認知症に